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「大草原の小さな家」の旅 

 夫が出張で、
「アメリカでね、ウイスコンシン州に行ってきたよ。すばらしく美しい森と湖のあるところだったよ。」
と言うので、「あぁ、ローラの故郷ね。ログキャビンもたくさんあったんじゃないの?」と言う私に、どうしてウイスコンシンを知ってるの?と、怪訝な顔でした。

 私の山の家暮らしの原点には、武田百合子の「富士日記」もあるのだけど、子どものころに読んだ「大草原の小さな家」が、まぎれもなくあって、今の家族の理想のありかたにも、働き者の父さんのチャールズと、優しい母さんのキャロライン夫婦のアメリカ開拓時代のフロンティア・スピリッツ(新しいところで頑張ろうという開拓精神)と、「家族愛」について強く影響を受けている気がします。

 テレビドラマ化されてからは、何度も再放送を見て、そのころちょうど日本も高度経済成長の終わりごろ「家族」のありかたを改めて模索するような時代だったので、子どもながらも感じ入っては観ていました。
 ローラの屋根裏部屋にあるキルト(パッチワークの布団)を初めて知り、キルトにひかれてお稽古に通ったり、ダッチオーブンや、ブルーの琺瑯のカップを知ったのもこのドラマでした。

 山の家にあった、服部奈美の「大草原の小さな家」の旅」を夫が手に取り読みはじめたので、わたしも再読。

「大草原の小さな家」の旅 _d0348118_1757459.jpg


 そして夫が、「なんだ、君のアウトドアの感性は、ここで影響を受けたんだ。もっと早くドラマが観たかったな。」と言うので、DVDも買いこみました。
早い晩ごはんが終わって、見たいテレビ番組がない日は、一話(45分番組)づつ二人で見直しています。
やっと入植した土地がネイティブインディアンの居留地になって住むところをおわれて、カンザスに移り、ウォールナットグローブに小さな家をたてる一家。父さんの怪我、ようやく小麦をそだてたり、山火事や、バッタの襲来、エドワードさんが大雪の中クリスマスのプレゼントを届けてくれる懐かしいシーンは、何度観てもハラハラして涙が出ちゃいます。

 さて、再読して改めて感じたのは、父さんの途方もない放浪癖に、辛抱強く耐えている母さんの姿。
アメリカンドリームの根底にあるフロンティア・スピリッツ満載のお話しなのですが、父さんは、定住してもすぐに西部へ、西部へと流れていきます。健気な母さんは、「チャールズ。あなたがいるところが私のホーム。」と何度も涙を浮かべながら言うのですが、きっと心底落ち着いた生活を望んでいたことがよくわかります。
 「家族が健康で、ひとつ屋根の下で暮らせば幸せ」
そのために、農夫の妻として過酷な労働にも耐え、いつも笑顔を絶やさずに東部の女の気品と、西部の女のたくましさを兼ね備えていたのだなと、大人になって読んでみてよくわかります。

 根なし草のように、住むところを何度も変わり、いつもちょっとはった根っこを抜かれては「あたらしい暮らしと、暖かい家庭」を作ることに腐心してきた転勤族の妻の私には、今、母さんの苦悩が手に取るように理解できる。
 そんなことを裏付けしてくれるようなこの解説本がこの「「大草原の小さな家」の旅」。

 いつの日か、キャンピングカーでローラのたどった足跡を旅してみたいねぇと夫が言いました。
なかなかいい思いつきです。はて、実現はするだろうか?

 物語は、父さんが、ダコタに新しい仕事を見つけて最後の移住(?)をするところで終わっています。
私たちが、いつかアメリカの旅をするころには、私にも終の棲家が見つかっているといいなと思います。





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by yukkescrap | 2015-11-08 17:13 | 好きな本スクラップ | Comments(0)

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