2016年 07月 21日
STONER ストーナー 美しすぎる小説
なんとまぁ、美しい小説なのでしょう。

特別な事件が起こるわけでもないし、変わった登場人物でもなく、どこにもいそうなちょっと生き方に不器用な男の生涯を描いた小説。
すごく淡々と、でも清々と、事件も起きないのに、どんどん、どんどん引き込まれていくこの不思議な感覚が、とにかく気持ちよくてじっくり、じっくりでも引き込まれてずんずんと読み進んでしまいました。
あとがきに、日本の翻訳者が病気と闘いながら、命を削るように翻訳したとあって、海外翻訳の本はいつもどこか違ってしまうのでしょうけど、日本語も丁寧ないい訳だったのだろうな。
強いアメリカばかりが強調されて、大統領選挙には、強さばかりがアピールされるのだけど、
ぜんぜんその対極にあるようなアメリカらしくない文学作品。
発刊から埋もれて40年、フランス人に読み起こされて、ヨーロッパでベストセラー、そして英国へ、アメリカへとベストセラーになったのだそうだ。
欧州のひとなら、それも北の方の人なら、このような耐え忍ぶようなぶきっちょな生き方にシンパシーを感じるのであろう。
市井の人の小さな幸せを思いながら、テロの事件をその対極に見ながら読了。

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