2016年 08月 04日
山野草「檜扇 ヒオウギ」八ヶ岳姥百合横丁にて

今年もオドロオドロしく、艶かしく姥百合が咲いています。

ちょっと立ち寄るつもりが、つい山野草の庭のお話になって、このところ今ひとつ体調が思わしくないという方に、あれやこれや聞いてしまって…。

私好みの手をかけ過ぎない、自生の植物を中心に庭を作られていて、ちょうど咲いていた橙色の花、「ノカンゾウの仲間ですよね。」と言ったら、ヒオウギよと、教えられました。
確かに葉っぱは特徴のある扇の形。

私の庭にも自生していたなと、戻ってからよく観察して、調べてみる。
ヒオウギは、緋扇と思ったら、檜扇。
檜の薄い板の扇で宮中の祭事に使われるという雅な名前でした。上品な橙色に朱の斑入り。

数えたら庭には、10株もあります。昨日は真っ黒な蝶が来て蜜を集めていたのでした。
シャッターチャンスがイマイチだけど。

この花の種(タネ)漆黒で綺麗よ。と言われて調べてみたら、
「射干玉(ぬばたま)」または 「烏羽玉(うばたま)」というのだとか。遠く万葉の時代から歌に詠まれる色の例え。
「ぬばたまの
夜の更けゆけば
久木(ひさぎ)生(お)ふる
清き川原に 千鳥しば鳴く」
万葉集 山部赤人
“ぬばたまの”は黒に関連のある「夜・夕・髪」などにかかる、枕詞(まくらことば)として用いられる言葉。
どうりでね、真っ黒な蝶もやって来るわけだ。
夕方、花はキュッと雑巾を絞ったかのように萎む。