松浦弥太郎さんの「
センス入門」を読んでいたら、センス磨きには重要文化財などの本物を見る目を育てろとあって、重い腰をあげて、ずいぶん前から行きたかった目黒の東京都庭園美術館の旧朝香宮邸へ。
アール・デコのそれはそれは美しい建物でした。
宮家のこだわりもあるのでしょうが、パリ留学経験のある施主のおふたりの感性に、皇族ならではの日本の美の様式がプラスされて、随所にこだわりを見せます。
これだけの家を造るには、宮内庁の大工たちはもとより、ご本人たちに、それだけのセンスと妥協のない想いがあったからと思います。財力だけでは成し得ないものだわねぇと。
正面玄関のガラスのレリーフはため息が出るほど美しい。
しっとりとしたタイルの色目は、日本の草木の色感を感じさせます。
石材もさることながら、惹かれたのは金物。
ラジエターや、門扉、レジスターに施されたこの美しいデザインは、妃殿下のものとあって、センスのいい方だったのでしょうね。
青海波にチューリップの組み合わせもある。
NHK朝の連続ドラマの神戸の洋館の様子を楽しみに見ているけど、それよりももちろんずっと趣味がいい。
ただ、こういう立派な建物に暮らした当主よりもそれに仕えたであろう多くの使用人にも思いをはせてしまう。
今の若人なら、家庭の使用人は、お金持ちの雇うお手伝いさんと思うだろうが、この時代には、越えがたい階級社会があって、主従関係はどれほどのものであたのか。
私とアール・デコの本格的な出会いは、インドのムンバイでした。
埋め立てられた海岸線沿いの建物の多くがアール・デコ様式、街の中心部に向かってゴシック建築と、長い植民地が受けた建築の影響は、こんなところにも表れていて、長い長い階級社会を見渡せました。
ただ、これほどに大事に戦火からものがれたこの旧朝香宮邸の美しさには、支配者的ないやらしさを感じないところが、一流のモノである証拠なのかなとおもったりして。
照明も、家具調度品のセンスも素晴らしい。
目を肥やす、センスを磨くというのは、美しさだけじゃなくて、そんな背景も感じていく感性なのかなとも思いながら。
なんと、カメラ女子がいっぱいです。この建物は、写真撮影はどこでもOK。写真のレッスンにはもってこいね。
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