三日連続の講演会の仕事で東京へ。娘夫婦の家にお邪魔させてもらう。
自分の家だが、住み手によって、もう、すっかり違う家みたい。それでいいと思うわ。
仏教美術に造詣の深い娘婿に連れられて、仏教美術のコレクションに篤い南青山の
根津美術館へ。
日本人の母娘に、アメリカ人の彼が丁寧に仏教美術を解説してくれるという珍しい鑑賞スタイル。帝釈天と梵天の説明を熱心に聞く娘の姿が可笑しい。
開催中の染付の藍の美しさにうなりながらも、私はこの美術館の所属品の美しい椿が満載の「
百椿図」にすっかり魅せられてしまいました。
椿の季節で、今盛りに咲いていますが、最近の椿は、ローズ色が多いなぁ。
昔のような真っ赤な一重の朱色に黄色の雄しべの紅椿をとんと見なくなりました。
遠き江戸の時代に、椿の大ブームがあったとかで、百ものたくさんの椿が描かれている。
20メートル以上の巻ものにたくさんの椿が歌と一緒に。
椿絵の構図はテーブルセッティングみたいだし、扇にのせたり、皿に乗せたりインテリア性の高い構図などもあって、それはそれは高尚。どれもが見事。
シャネルが愛したのは八重咲きの真っ白な椿、Camellia。もちろんそれもあるけれど、椿は日本から欧米へ伝わった園芸種と知る。
原種の保存が難しく種が絶えてしまったものもあるとの解説に、あの朱色の椿をみかけなくなったのは、そんな理由もあるのだろうかと思いました。どこかでもう一度見たいものです。
いつ来ても美しい根津美術館の正面アプローチを抜けながら、タイムトンネルを抜けるようであの紅は、なんだか遠い幻になってしまったような気がして、とっても不思議な気分になりました。

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