山小屋に来ると、すっかり出不精になってしまって、ドレスアップして外食というのがとても億劫になります。
身支度を整えて出かけるくらいなら、気楽に食卓を囲んで、のんびりペースで飲みたい、食べたいと思ってしまうから。
この夏の山小屋は、千客万来。
楽しい友人が次々とやって来てくれて、さすがに一日台所に立っていても楽しいなを自称する私も、たまには外でお食事をしたくなったよ。
山荘への客足が遠のいた日に、夫と二人で、ちょっと小ぎれいに身支度して近所のフレンチレストランへ。
一件目は、前から憧れていた清春芸術村にある
素透撫(すとーぶ)。
清春美術館のオーナーである画商・吉田長三のこだわりレストラン。
古民家は鎌倉からの移築、室内装飾、庭、器のデザイン、料理のコンセプトまでもが、粋人たちの絶賛の的になっているだけあって、見事なしつらえと、八ヶ岳周辺の旨みを凝縮した素材重視のフレンチ。
酒も、もちろん地元産。
接客のウエイターさんの心憎いおもてなしに、しばし田舎暮らしを忘れさせる崇高な気分に。
3000本ともいわれる箒の生け垣は、見事。苔に白石の配置も素晴らしい。
季節ごとに旬の味を求めて何度も行きたくなる名店のゆえんがわかります。
二件目は、同じくフレンチレストランの昼限定の蕎麦ランチ。
紬山荘へ。
ここも予約の隙間でようやく相伴に預かった店。ナビがないととてもたどり着けないような村の集落の奥まったところにあります。
流行のすだちを、紙のようにスライスしたすだち蕎麦をいただく。
十割蕎麦のそば粉は、この土地のモノではないが、茹で上がりではないらしく。
もりそばが、乾き気味だったのは、純な蕎麦屋でないからか?
蕎麦の創作料理と思えば見事だけど、蕎麦屋の激戦地にあってこの仕上がりは、なんとも残念だな。
でも庭も、これまたあ設えも心憎い店です。
山荘暮らしは、不便を主体的に楽しめないととてもじゃないが長居はできない。
住まいの手入れのほかに、「日々のおさんどん」を厭わない人でないとなかなか大変。
近所の持ち主が代替わりした山荘のお奥さまは、「上げ膳、据え膳、掃除なしじゃなくちゃ、私には山荘暮らしは一日で無理!」とおしゃっていて。山荘を残されても、代が変わると維持管理も難しいらしく、近所の山荘はポツポツ売りにでたりしている。
山の非日常を楽しむにも、主体的に暮らしのあれこれを楽しまないことには、なかなかね。
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