義母から、夫、そして私に回ってきた本「
旅の終わりに (海外文学セレクション)
」です。
主人が「良かったよ。読んだら」と手渡してくれて、いつもなら一気に小説は読んでしまうのに、
あまりに切なくて、ときどき本を伏せては、ふぅっと遠くを見たりしてました。
主人公の妻は末期がん、夫は認知症という老夫婦が、これ以上の治療を望まない妻が、自分の亡きあと介護施設に入居するのを拒む夫を案じてある決断をする。愛用のキャンピングカーで、かつて子どもたちを出かけたルート66をたどってデズニーランドまでの旅。最初のページから結末は予想がついても考えたくないストーリーです。
仲の良い夫婦の阿吽の呼吸と、認知症の夫の記憶の回想。行く先々のキャンプ場では、家族の思いで写真をスライドショーでシーツに映写して思い出を振り返る。
お話は、妻の一人語りで歯切れよく進み、ぐいぐい引き込まれるけど、時々触れる琴線で、ぐっとわが身に重ねたり、亡き自分の両親の最期の日々と重なって、苦し唸ったりしながら。
高齢化ニッポンでは、誰もが引き込まれてしまう話だけど、映画化までは随分かかった様子。
主人公のエラが、私の生き方を喜びと楽しさに満ちているところは、見習いたく、こうありたいと切に願う。
最期まで、こんな夫婦でいたいものだと思うけど、現実には許されないこともいっぱいあるだろうな。
思うままに人生を全うするということの壮大な努力と決心。穏やかな老後というのはやっぱり夢物語なのだろうか?とも。
すでに1月には映画化されて日本でも上映中の様子。映画の題名は、「ロング・ロングバケーション」
原作の英題は「The Leisure Seeker」。
この翻訳家の小梨直さんも映画化するなら、シャーリー・マックレーンかなとあとがきにあったし、私もそういう風に思いながら読んでいたけど、
俳優は、ヘレン・ミレンと、ドナルド・サザーランドになっていました。
いつも原作が先で、映画はあとから観るタイプなんですが、観ないでおこうかな?また切なくなっちゃうなと考えています。