
Netflixで公開、アカデミー賞の監督賞受賞のメキシコ映画Romaを、吉祥寺の映画館の劇場版で観てきました。全編モノクロ。
屋上での洗濯と干場、今もRomaのお家はこんな感じ。
舞台は、わたしが暮らしたメキシコシティ。
よく買い物なもだかけた高級住宅地、今では沢山の店が並ぶ商業地域のRoma。
映画の時代設定は1971年ごろとあるから今からかれこれ50年前だけど、街並みも、道ゆく物売り、お手伝いさんが着ているムチャチャ(お手伝いさんをこう呼ぶ)のエプロンは、当時のままだけどね。
そして映画の感想ね。
今もいるの、こういう家族とこういうお手伝いさんがね。
あまりにリアルで、淡々とと描かれるお手伝いさんの仕事の日常が、驚くほどに現実感と重さを語ってるのね。
よくある「おしん」のようなお手伝いさんイジメのお話とは違って、階級社会での人間模様が、ちょっと小津安二郎の東京物語のようでもありました。
中島京子さんの「小さいお家」みたいでもある。
メキシコの友人たちは、自分の家の使用人さんと重ねて、そうそううちのお手伝いさんも、こういう良い子だったよねと懐かしんでもいたけど。
わたしも、途上国の階級社会にちょっと入り込んで、家に使用人を置くような環境を長いこと経験して、難しこともあったけど、家族の一員として、子どもたち、主人、わたしと仲良く、苦楽を共にしていたことを思い出して、途中からは涙が止まらなかったのよね。
メキシコ駐在中に何度も聞かされた、学生運動が激しかった頃のトラルテルコ事件と呼ばれる三文化広場の学生がたくさん犠牲になった惨事がこの映画の背景に。
肌の色が物語る今も残る階級社会。
でも、暮らした国はわたしにはかけがえのない第二の故郷。
懐かしさがいっぱいで、周りの人に不審がられるほど、微笑んだり涙したりの名作でした。