ご近所の散歩コース、成蹊大学周辺には大きなお屋敷と呼ばれるようなおうちが沢山ある街並みです。
大学キャンパスの正門前の一角にあるこの白い建物が修道女院と知ったのはついこの間。大きな保護樹林に守られて芝生の庭の向こうにモダニズム建築の白いお屋敷。
この修道女院が2年後にここを売却することになったそうで、文化財として残せないものかという話になり、「旧赤星邸の緑と建物を武蔵野市の公共施設として保存を願う会」とういう活動がスタートしたそうです。
いつもは修道女院ですから固く門が閉じられて、高いコンクリートの塀の隙間からちょっとだけ覗き見るくらいしか出来ませんが、今日は地域の住民に、保存活動を願って公開見学会が行われました。ローマ法王の来日に合わせてなのかしらね。
建築当時の写真から。
建築物が大好きな私には願ってもないチャンスと、雨の中見学会に行ってきました。
お御堂と呼ばれる祈りの場所では、シスターのお話がはじまっていて、びっくりするほど沢山の人が参加していて、地域の関心の高さが伺われます。
私はこの後用事があったので、シスターのお話は聞かずに先に建物を見学させていただきました。
親日家でもあったアントニン・レイモンドによる設計。昭和9年にできました。レイモンドは、フランク・ロイド・ライトの弟子で、コルビジェに並ぶモダニズム建築の先駆者。室内のインテリアコーディネートは、妻のノエミ・レイモンドによるもの。
親日家だけあって、アールヌーボーに、引き戸ののある和風建築も融合させてあって、メキシコで出会ったルイス・バラカンみたいに自然との調和も図られていて、素敵なのでした。コルビジェやライトの建築物が世界遺産になっていることを考えると、この建物も文化財としての価値を持ちあわせているわけね。
大きな大広間には、蓮窓が続きレイモンドの夫妻の要望で大きな藤棚がついています。
今もすくすく藤が咲くそうです。この藤棚の下で夫妻は食事をしたそうです。
子供部屋へ続く寝室が連なっている様子。
ステキな螺旋階段。
シスターたちが磨き上げている素晴らしいキッチン。
書斎や、備え付けクローゼッドのとびらえ、引き戸の取っ手。
食器棚もノミエ夫人のデザインなんですって。
あぁ、つくづく大事に残して欲しい調度品ばかりです。
今日のスタッフさんたちのお話では、保存だけでなく、ゲストハウスや茶会などの使用目的も視野に入れていると聞きました。
赤星鉄馬は昭和の実業家で、この辺り一帯(成蹊大学の敷地も)3万坪を所有していたそうです。戦後GHQに接収、その後、ナミュール・ノートルダム修道女会が大事に使ってきたそう。
建物、建築物フェチにはとても楽しい見学会でした。
見学会には詳しい建築物の説明資料が配られこの建物の価値について語られています。地域の人たちの活動がいい方向に進むといいなと思います。