空気が重たくなってじっとりする季節は、手に取る本も湿気を吸ってか少し重く感じる気がします。
昨日も、シニアになってからのこれからの在りようについてちょこっと思うことを書きましたが、そんな時に出会った一冊。

ページに差し込まれた木々の写真が、老年期を表すようにどれも美しい。
絵本でおなじみのこぐま社のシニア向けの絵本といった装丁です。
内容も短いからすぐに読み終えます。
老いて感じるさまざまな戸惑いをしっかり、素直に受け止めて、気張らず、ありのままであれば良いという数々の提言。
わたしはクリスチャンではないから、神との関わりについては、遠く考えが及びませんが、本の中のキリスト教感や、欧米の思考を除いても、そこにある老いることへの肯定への提言に深く心を揺さぶられました。
終活なんて言葉が当たり前になって、自分の人生の締めくくりをちゃんとしろと言われる今の風潮。
老いては従えという日本の昔ながらの教え。
終活のための断捨離も、お片づけマニアのわたしでも違和感があるの。
今までそういうことが、まさに正論だと思ってきたけど、ちょっと違うなぁという思いもどこかにあったから、深く頷くばかりでした。
歳をとって迷惑ばかりかけるようになって、疎んじられるのは心外だよね。
いつまでしっかりしていられるか、それは誰もが恐れて案じていること。
これからは、長生きが辛くなるそうな気もしてるの。
図書館で手に取り、一読してから、手元に置きたくてポチりっとして、
何度かページをめくりすでに5回くらいは読んでいる気がします。
老いについて語る大御所の、佐藤愛子さんや、曽野綾子さん、上野千鶴子さんの老いの哲学的な提言とは、違った視点です。
句読点もないポエムのような文章にも好感がもてます。
この本を日本に紹介してくれ、翻訳へ導いてくれたドイツ人の女性は、日本のいのちの電話の生みの親らしい。
優しさも詰まった良い一冊でした。