2021年 07月 30日
読んだ本 「ある小さなスズメの記録」
とっても愛おしく、素敵なお話でした。
世界各国で翻訳されたベストセラー、ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯 (文春文庫)を読了。
第二次世界大戦下のロンドン、元ピアニストの老婦人が、家の前に生まれたばかりのスズメの雛をみつけ大事に育てるというお話なんですが、奇をてらうわけでもなく、淡々とその小さな命を守り、愛おしむ様子がすごく素敵なのです。
日本では、今はもう野鳥を飼うことは許されませんし、(昔は鳴鳥のために野鳥の鳴き比べのような飼い方もあった)、もしも怪我をしたり、病気の野鳥と出会っても保護せずに、そのまま自然に任せるというルールがあります。
スズメのヒナを拾った作者のキップス夫人も、自然保護や、野生の鳥の尊厳についてはよくわかっているのだけど、このヒナがようやく一命を取り留めたとき、足と羽に障碍があることがわかり、とても自然には返せないということがみつかります。
それらをごく自然に受け入れ、淡々と飼育をすすめ、時にはピアニストらしく毎日奏でるピアノにスズメが歌を歌うようになったり、ヤマガラのように小さな芸を身につけ戦時中の避難所で小さな子どもたちの慰め役になったりもするのね。
そんな様子が淡々とつづられていきます。
スズメの恋についても多く書かれていて、夫人は、伴侶をなくし、一人暮らし、孤高の自立した女性ではあっても、スズメの家族へのほのかな期待もあったりして。
この夏は、梨木香歩さんの本をずっと読んでいて、その翻訳の一冊として出会いました。ロンドンに留学もされていたし、(その時の下宿のマダムが西の魔女のモデルさん?)、自然や植物にも造形が深く、特にバードウォッチングにも詳しいことも、この本の翻訳にはうってつけだったなぁと思います。
もう一冊、梨木香歩さんが子ども向けに翻訳したわたしたちのたねまき: たねをめぐるいのちたちのおはなしというこれまたかわいい絵本も出されていて、図書館で手にして読んだら、なんと素敵な科学絵本。
早速、いつの日か孫と山の家で読みたいと買い求めました。
この夏は、読書もずっと自然の中です。
縫い物をしたりお料理したり本も読まれて、一日あっという間でしょうか、いつも感心してます。本もステキな本をご紹介くださり嬉しいです。スマホで操作してますのでフォローさせてくださいね
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by yukkescrap
| 2021-07-30 15:34
| 好きな本スクラップ
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Comments(2)





