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読んだ本 庄野潤三ワールド

どこかの書評で読んだのだと思う。
庄野潤三の生誕100年を機に再販された本が静かなブームと聞く。

純文学、昔の芥川賞作家の本などいつもは手に取ることもないのに、書評に惹かれたのは、この表紙の写真からだと思う。
文豪の書斎というのは、昔から気になって仕方がないの。
名前を知ってはいたけど、作品はひとつも読んだことがない。
教科書に載っている作品があるのかどうかさえも知らない。
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写真は昭和の香りがプンプンして、ページをめくれば、庄野潤三の同年代の作家、遠藤周作、安岡章太郎、井伏鱒二、吉行淳之介、檀一雄などとの交流の話。昔読んだり、知ってはいても今はもうほとんど読まない作家ばかりだ。

なのに、巻頭の数々の写真(撮影は白石和弘)惹きつけられるし、
収録されている数編のエッセイ、作家の子どもたちの回想があったり、親友作家たちの評、全著の作品案内という編集のせいで、ぐいぐいファンになってしまった。
この本の編集者さんにやられた!って感じ。

今の私と同年代の64歳で脳内出血を患い、初孫やひ孫の成長を支えにその後の執筆活動に進んでいくのだけどね。その様子は最近、再販された「世をへだてて (講談社文芸文庫)」という作品に綴られている。(2021年1月刊)
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大急ぎでポチった一冊。

どの作品も、淡々とささやかな家族の日常(掛け替えのない家族という表現をしている)を描いていて、大きな問題や不幸があるわけでもない作品が多い。
「夕べの雲」から読み始めたけど、すでに文庫はなくて、図書館の全集の中から読んでます。
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多摩丘陵・生田の山の上の家に子ども3人と一緒に暮らしたい日々、巣立って行く子どもたち、長女を嫁に出す様子、その後、孫やひ孫を連れて子どもたちがやってくる老夫婦の生活など作家等身大の父性あふるる私小説。その庄野ワールドの心地よさ。

作家のプロフィールを読めば、教育者の家庭で生まれ育ち、自身も教壇に立っている。親の目線で3人の子を見つめ、山の上の家は、日本版大草原の家というような家庭小説だったのです。映画で言えば、小津安二郎か山田洋次の作品みたいな感じね。
同年代の作家たちの放蕩、破滅、火宅というような波乱万丈の小説とは全く違う。

へぇ〜、こんな穏やかで優しい視線の小説が日本にもあったのかと驚いて。
それも芥川賞作家。そして亡き両親や夫の父と同世代(大正15年生まれ)の庄野夫婦姿を我が親に重ね合わせたりしながら。当時の親の気持ちを推し量ったりして。
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自然あふれる描写もいっぱいで、野鳥、植物、四季の移ろい、子どもたちの森での冒険談、どこか懐かしい既視感にも似た雰囲気は、大好きなアーサーランサムの「つばめ号とアマゾン号」のシリーズも思わせるんですよね。
 読むうちに、すごく優しい気持ちになれて、家族の日常の暮らしがたまらなく愛おしく思えてくる作品やエッセイばかりなのです。

上の写真の本は、再販の新刊本ではないけど、図書館の書庫に眠る読みたい作品を見つけて貸し出し予約。書庫本なのできっと予約者はいないから期日を気にすることなく延長しながらゆっくり読めそうで嬉しい。

最近撰集で出版された「親子の時間」(2014年刊)は、その山の上の家での短編集。
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秋の夜長を庄野ワールドで楽しんでいます。
珍しく大相撲も観ないで、読書に耽る秋。
宇良と照ノ富士の結びの一番だけ観たわ。負けちゃったけど、胸がすく良い相撲だったね。





Commented by miyabiflower at 2021-09-22 13:47
こんにちは。
実家にあった「夕べの雲」を少し前に読みました。
静かな日々の暮らしが描かれていて
懐かしい気持ちになりました。
「山の上の家」、図書館で予約しました。
他の本も少しずつ読みたくなりました。
ご紹介ありがとうございます。
↓の煮豆もおはぎもおいしそうですね。
丁寧に作られたものはおいしくておなかも心も満たされます。
ハロウインよりおはぎを大事に・・・そうですね^^
Commented by yukkescrap at 2021-09-22 19:04
> miyabiflowerさん

 わぁ!ご実家のどなたが読まれた本なのかしら?

きっと親世代は、楽しく読んだのでしょうね。
秋の夜長の読書、楽しんでね!
by yukkescrap | 2021-09-22 09:08 | 好きな本スクラップ | Comments(2)

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