ようやく今年初めて本をじっくり読む時間がとれました。
この本の愛読者の宮崎駿さんが、このタイトルの映画をこの夏に公開とあって、さらに評判になっていたらしいです。ジブリ映画のストーリーになるのではなく、主人公とこの本の関わりがあるらしいという設定だとか。
私が今回読んだのは、岩波文庫から出ている原作の1981年の改訂版です。
初版は1937年(昭和12年)、 山本有三の国民少年文庫の編纂の中の一冊で、倫理、道徳の少年向けの小説です。
80年も前の小説ですが、吉野源三郎さんは3度の改定をして、戦前の文言や言い回しを現代語に直して、なお若い人への提言を綴っているんですね。
日本が良くない時代に向かう時、当時の心ある大人たちが、先の見えない時代を若い人がどう生きるかをコペル君と叔父さんとのやりとりの中で、自分で考えていくように導き綴っていく書き手の手法は、今読んでも素晴らしい構成でした。
知育や知識ばかりが先行していた日本の教育に、社会学、自然科学からの視点も交えて教養と、人としてのあるべき姿を自分で見出していくヒントをたくさん盛り込んでいて、内容はお説教臭くなく(昭和初期にあって、説教くさくない驚く手法表現)、思考を深め、相手や世の中を深く理解していくすべを語っていてね。
80年も経っても、いじめも貧困も消えない時代に、子育て世代の親にも、もう一度読み直してほしい一冊。アラ還になって手にしても、とっても良い本でした。
老いても、自分を厳しく律し、時間もお金もだれかのためにといつも奔走しているような人がとても魅力的にみえます。
ありがたい事に、そういうお友だちが周りにいっぱいいてくれて、刺激ももらいます。
どう生きるかって聞かれたら、「自分を律して生きる」かな?
だからきっと無人島にたどり着いて、我が身のために暇つぶしの読書っていうのは、きっとどれを読んでもつまらないと思うのです。いつか無人島から帰れる日が来るなら、どうかな?今もって、なかなかそういう本には巡り会えないわね。
そしていつも気になっていた岩波少年文庫のあとがきに書かれた「岩波少年文庫発刊に際して」の一文が吉野源三郎の文と今回初めて知ったのでした。
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もし無人島に1冊だけ本を持って行くとしたらどんな本ですか?