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読んだ本 向田邦子「夜中の薔薇」

 先月、是枝裕和監督のリメイクドラマ「阿修羅のごとく」を観て、向田邦子熱が再来です。
長女役の宮沢りえの和服姿の妖艶さにたじろき、昔観た加藤治子の長女のイメージを一変させ、次女役の尾野真知子と本木雅弘夫妻のやり取りにも釘付け、お母さん役の松坂慶子さんなどのキャストのハマりっぷりもすごく。
向田邦子ドラマあるあるの超早口な姉妹のお喋りシーンも原作の時と同じく。
 是枝監督の演出もすごいけど、やっぱりドラマの脚本はすごいんですよね。
初演当時、ティーンエイジャーだったわたしはきっとドラマの半分も意味をわかっていなかったと思うけど。

向田邦子熱の再燃で、「夜中の薔薇」を読みました。
新装版の解説は太田光。これも読みたかったからね。
わたしのような人が読み返すことを想定してか?「文字が大きい新装版」だそうで。
 向田邦子が亡くなったのは51歳の時の飛行機事故。夜中の薔薇は、その直後に出版されたエッセイ集。
その後、森繁久彌や久世光彦たちの惜しむ記事もいっぱいでて、さらにかっこいい女性像がどんどん膨らんでブームを巻き起こしたけど。今回もエッセイを読み返して、当時のドラマの脚本やエッセイが40代、30代で書かれたものと知れば、どれほどに成熟してかっこいい女性だったか?と還暦過ぎのばあばは、ぐうの音も出ない。
 自分がとっても幼稚に思える。
読んだ本 向田邦子「夜中の薔薇」_d0348118_09504336.jpeg
 おばあさんにもなっていないのに、寺内きんのおばあさんのキャラクターを生み出し、そのモデルとなった人の事にもエッセイで触れている。
40代で書いたと思われる後半の男性鑑賞法シリーズなどは、とてもじゃないけど、男を、人をこんな風には感じることも観察することも凡人のわたしにはできないと恐れいる。

 老成というよりも、頑固に自分の美学を貫く生き方(手袋をさがす)が、多くの共感を得るのだろうなぁと。
いつも間に合わせで、刹那的選択の日々の積み重ねの我が身は比べようもないけど。
カッコ良すぎて、生き方を真似ようなどとはさらさら思えない。

珠玉のエッセイ。図書館で借りたら、ぜひ本屋で新装版の太田光の解説のところをご一読あれ。


by yukkescrap | 2025-03-13 10:11 | 好きな本スクラップ | Comments(0)

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